拝啓 平成様

拝啓   平成 様

桜もすっかり満開になり春本番の中、いかがお過ごしですか。
今の天皇陛下が発表されてから、世の中はずっと「平成最後ムード」でしたね。
貴方がこの世に生を受けたのは約31年前、今は亡き小渕元総理が掲げた平成の文字が新聞の紙面を飾りましたね。

私はそれより少し前、昭和の終わりに生を受けました。
物心ついたときには、既に貴方は当たり前の絶対的存在として世の中に広く知れ渡っていました。

私が子供の頃、親と共に笑い、涙し、喜び、悲しんだときも、貴方はいつも壁に掲げられたカレンダーから、そして新聞から、見守っていましたね。

初めてゲームをしたり、
初めてお菓子を作ったり、
初めて独り暮らしするようになったり、
初めて東京で暮らしたり、
初めて人を好きになったり、
数え切れないくらいの初めてを、貴方のもとで経験しました。

そして、初めて取った免許でも、貴方は見守っていました。

ちょうど去年の終わり頃、私は免許を更新しに行きました。
平成35年という表記を見て、そんな日は来ないんだと思うと、とても切なくなりました。

先日、役所に行きました。
明治・大正・昭和・平成という順番の書類に、いつも右から二番目だと思って○をつけていたのですが、新しく令和がありましたね。
自分の年号が真ん中にあるのは、少しむず痒く感じました。

私にとっては、親と同じくらい、貴方はいつまでも変わらないものだと思っていました。

でも、時は流れ、時代は変わります。
親が年を取っていくように、私が年を取っていくように、貴方も、あと2日で終わりを迎えます。

昭和に比べたら約半分の期間しかなかったけれど、同じ時代を一緒に生きた私にとっては、貴方は何事にも代えがたいものです。

令和という響き、漢字は未だに慣れません。
きっと、昭和から平成に変わるときも、世の中の人はこう思っていたんでしょうね。
そして、今平成に慣れ親しんでいる私のようにいつの間にか令和に馴染んでいくんでしょうね。

私は貴方が大好きです。

貴方の世代に色々なことがありました。
地震もありました。消費税が出来ました。
世の中が目まぐるしい発達をしました。
思い返すと、この31年、色々とありすぎて書ききれないし、何故か涙が出てきます。

いつか私が年を取って、令和に生まれた子達に平成という時代がどういうものだったかを説明することがあれば、きっと、辛いことも楽しいこともいっぱいあった時代だったと、充実したいい時代だったとそう答えると思います。


31年間、本当にありがとう。
これから会えなくなるのは寂しいけれど、あと残りたった2日なのがすごく寂しいけれど、きっと令和もいい時代になると信じています。いい時代に、私達が作ってゆきます。

平成さん、ありがとう。長い間、お疲れ様でした。


敬具